遺言の実際…遺留分放棄

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遺留分放棄…実際には



遺留分放棄は相続争いに役立ちますが、無条件に認められるものではありません。、家庭裁判所の許可を受けないといけません。

実際の裁判所の判断をみてみましょう。

■自己の結婚について父母の了解を得たいとの一心から遺留分放棄の許可を申し立てたような場合には,申立人のまったくの自由意思によって申立てがなされたものであるかについては疑問があり,申立てに合理的理由を見い出すことができない。(和歌山家審・昭和60年11月14日)
「申立人は,当裁判所の審問に対し,遺留分の放棄をするのは自由な意思からであると述べているが,他方,父の意思に従いたい旨のことも述べており,これらのことと,前記認定の事実とを併せ検討してみると,本件申立が,申立人の全くの自由意思に基づいてなされたものと認定するには多くの疑問が残る。ところで,我が民法は均分相続を原則としているところ,相続の放棄はその例外であり,しかも,遺留分の事前放棄というのは相続人の全くの自由な意思によってなされるべきであるところから,それが効力を生ずるためには,家庭裁判所の許可を要するとされているわけである。したがって,家庭裁判所としては,遺留分の事前放棄の許否の審判に際してはそれが相続人の全くの自由な意思によってなされたものであることについて疑いのあるような場合には,その疑いが解消されない限りこれを許可すべきものではないと考える。そして本件の場合においては,前述した如く,申立人は父からの示唆によって, 本件手続の存在を知り,自己の結婚について父母の了解を得たいとの一心から,父の意思を付度して本件申立をしたものであり,しかも,被相続財産が高額になることからすると,本件申立が申立人の全くの自由意思によってなされたと認定するには多大の疑問が残り,したがって,本件申立をしなければならない合理的理由を見出すこともできない。」

■妻の夫に対する遺留分放棄の許可を認めなかった。(東京家審・昭和35年10月4日)
「申立人は被相続人夫に対する遺留分の放棄許可を求めるというのであって,その理由とするところは,申立人は現在息子たちの扶養をうけており,今後の生活に不安がないから被相続人夫に対する遺留分放棄の許可を求めるというのであるが,申立人の申立は被相続人の発意に出たものであり,殊に配偶者相続権の確立並びに諸子均分相続の理念に反するところがあるので(本件申立てを却下する。)」

■5年後に金300万円の贈与を被相続人がするという約束の下での被相続人の非嫡出子の放棄の申立てを,贈与の現実の履行が不確実であるとして申立てを却下。(神戸家審・昭和40年10月26日)
「本件申立の要旨は「申立人は昭和24年6月23日……と……の間に出生し,昭和40年4月5日……の認知をうけた者である。ところで,……は妻……との間に子がないところ,今般申立人に対し,昭和45年12月末日に金300万円を申立人に贈与するから,遺留分の放棄をされたい旨申し向けた。そこで,申立人としては,遺留分の放棄を決意し,その許可を求めるべく,本件申立に及んだものである」というのである。そこで考えてみるに,本件調査の結果(申立人審問の結果を含む)によると,申立人主張の上記事実は,すべてこれを認めることができる。しかしながら,申立人が父……から既に金300万円の贈与をうけ了っているというのであれば兎も角,本件においては,唯単に5年後に金300万円を贈与するという契約がなされているに過ぎないのであって,それが果して現実に履行されるか否かについては,現在のところ,たやすく予断を許さないのであるから,このような事情の下で遺留分の放棄を許可するときは,他日申立人にとって,予想外の事態を招き,思わぬ損害を惹起する虞れがないとはいえない。そうすると本件遺留分放棄は相当でないから,それを許可することはできないという外はない。」

■遺留分を放棄した場合には絶対的に減殺権の範囲を減少する効果を生じ,他の受贈者または受遺者に対して減殺請求をすることは許されない。(名古屋地判・大正5年6月20日)
「被相続人・戸主ガ隠居分トシテ留保シタル財産二付之ガ承認ヲ為シ同人二対スル減殺権ヲ拠棄シ居レドモ,減殺権ノ拡棄ハ其拠棄シタル限度二於テ絶対的二減殺権ノ範囲ヲ縮少スルノ結果ヲ生ズルモノニシテ,Y二対シ減殺権ヲ放棄シタル部分二相当スル金額二付キ他ノ受贈者二向ツテ減殺請求ヲ為シ得べキモノニアラズ。」


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